(故)スターダンス←ロマンシア 風味で舞台キレムサ。




***「到来」


 墓石の前に立って、呪いの言葉を沸々と思い浮かべつつ、妹曰く「泣きそうな顔」で今年も初雪を眺めることになるのだろうと思う。

 色とりどりの献花が今年も少しずつ雪に埋まって見えなくなっていくのだろう。毎年そうだった。多分これから先も変わらないように思う。…おまえがもし、目覚めでもしない限り。…目覚めてしまわない限りは。地獄のようで、実に安穏な日々が幾星霜も通り過ぎていく。
 己の全てを、それこそ魂の一片まで捧げておまえの復活を願う立場にいながらこの為体。笑止千万と言うしかない。

 確かにおまえが憎いし、確かにおまえが必要だと思う。相反しているように思えるが、実に自分の中で絶妙なバランスを保っていたりする。頬の傷を見る度沸々と怒りが込み上げ、そしてその波が過ぎ去ると今度はこの傷を少しだけ、本当に少しだけ幸せに思ったりする。今はもう地上にいないおまえが生きた証。この身が覚えるおまえの軌跡。

 胸を過ぎるものが何だか分からなくなってもう随分経つ。生とか死とか、そういうものを凌駕する全てがこの場所に集約されている。徐々に薄れていく昔の記憶の中、それでも鮮明に残るのは幼いおまえの可愛気のある姿だけ。それから、おまえへの精一杯の憎しみも…

 ループの始まった思考を振り払うように首を振って、墓石の前に立って。広がる青一色の空を眺める。

 こうして、何度めだかわからぬおまえのいない冬が来る。


***END



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