無題



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 雪だるまを作ろう、とスターダンスが持ちかけてきた。
 ロマンシアははじめ「今年もか」と嫌がったが、スターダンスの熱意に負けて頷くことになる。渋々連れ出されたロマンシアは随分と苦い顔をしていたが、雪だるま作りに走り回っている内にそのような気配は消し飛んでしまった。
「ロマンシアは下を作ってね」
「……ああ、……分かった」
 ロマンシアは素直に頷いたが、本人にあまり自信はない。毎年一つや二つは必ず作っているというのに、いつもいつも綺麗な円形にならずにいびつなだるまができあがる。こういう作業は作った本人の性格やら気性やらを反映するというが、だとしたらロマンシアは相当おかしな事になっているのかもしれない。
 そして今年も、安定感のないいびつな下半身が出来上がった。

 平気だよ、とスターダンスは言う。
「ちょっと真ん中を削って、……ほら、こうすれば安定感も出るでしょ」
 その上にスターダンスの作った頭部が載せられる。転がし方が上手いのか、はたまた別の要因か、とにかく綺麗な円形で、ロマンシアの目には少々眩しく映った。
「下もおまえが作った方が綺麗なのに」
「ロマンシア、雪だるまってのは、綺麗にできてるからどうこうって訳じゃないでしょ」
 言葉の真意を測りかねたロマンシアが少し首を傾ける。スターダンスは笑って、「共同作業ってことが大事なんだよ」と言った。
「それとね、ロマンシア」
「ん」
「いびつなだるましか作れない君のことが、僕は好きなんだ」
 ロマンシアは思わず隣に目を奪われた。少し照れた横顔が何とも新鮮で、ロマンシアにはしばらく黙ってから「馬鹿じゃないのか。……おまえ」という減らず口を叩く道しか残されなかった。
「ロマンシアは? 僕のことは?」
 そうだな、とロマンシアは言う。何となく雪だるまのアイテムを細かく調整しつつ、ただ一言「来年も作ろうな」と言った。

 真意は伝わっただろうか。隣のスターダンスは随分と無邪気な顔をして笑った。


 ***END



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